結局イベルメクチンはコロナに効くの?効かないの?
新型コロナウイルスに有効なお薬として、今大注目を集めているイベルメクチンですが、果たして本当に効果を発揮してくれるのか?
そんな疑問を持っている人はたくさんいるかと思います。
実際、苦言を残している専門家の方が多く、イベルメクチン賛成派と否定派に分かれる事態に陥っているのが現状なんです。
効果があるかどうかもまだ確立していないなか、世界ではすでにイベルメクチンの需要が高まっており、在庫切れに陥っている病院も。
本来の適応症、疥癬や腸管糞線虫にかかってしまった患者に投与する分までもなくなるのではないかと懸念の声が上がっています。
本記事ではイベルメクチンが世界の注目を集めるキッカケになった、コロナへの効果について紹介していきます。
イベルメクチンが効くと言われる理由
海外の研究チームがイベルメクチンを用いて行った治験内容によると、コロナに対して3つの効果が判明したといわれています。
・コロナウイルスの増殖、複製を阻害
・コロナウイルスの感染や発症の予防
・感染後の軽症治療
また下記の表は研究チームが公表しているイベルメクチンの有効性です。
予防 | 早期治療 | 後期治療 | |
総研究 | 総研究 | 69% | 40% |
専門家による評価 | 86% | 70% | 43% |
ランダム化比較試験 | 84% | 84% | 30% |
基本的にウイルスというものは体内に入り込んだ時から、ウイルスの分身を作り続けていきます。
イベルメクチンはその働きをブロックし、それ以上ウイルスが増殖しないように働きかけるのです。
感染後の治療効果についてですが、人間の身体はウイルスが体内に入ると免疫細胞から分泌される物質・サイトカインが動き出します。
サイトカインは免疫細胞を活性化させる働きがあり、ウイルスを撃退してくれるのです。
しかし、このサイトカインが過剰分泌されてしまうとウイルスとは別に元気な細胞まで攻撃します。
これを医学用語でサイトカインストームと呼んでいます。
ウイルスに侵されていない元気な細胞まで攻撃すると、体内の中にある正常な細胞がどんどん減ってしまいコロナの症状が悪化してしまいます。
すると重症である肺炎症状を誘発するのです。
肺炎症状になってしまうと入院が必要に。しかし、現段階では感染者が増えすぎており入院すらできずに自宅で亡くなる方も。
そのような状態を回避するためのイベルメクチンなんです。
イベルメクチンは、体内の中でサイトカインが過剰分泌されないように働きかけて重症化を予防します。
効果に苦言を残している各機関の声
イベルメクチンの有効性は100%ではないものの、予防効果が86%も誇っていることから期待が寄せられるのも納得がいきます。
しかし、各国の政府やWHOはこの研究結果に苦言を残しています。
例えば本国の厚生労働省は「コロナに有効であるかは断言できない」と発表しています。
世界保健機構であるWHOは「科学的根拠があるかは極めて不確実だ」としています。
その他にもアメリカの大手製薬であるメルク社や、NIH(国立衛生研究所)といった機関もコロナ薬としてのイベルメクチンに否定的なコメントを残しています。
実はイベルメクチンの治験数が非常に少なく、コロナ新薬として認可を下ろすにはまだまだ研究が足りないのです。
通常、新薬を認可する際には多くの治験者数が必要。
しかし、今回公表されているコロナへの有効性の治験結果は、明らかに症例数が少ないのです。
上記の理由から各国政府や機関はまだイベルメクチンをコロナ新薬として認可していません。
コロナ治療薬として承認される可能性は?
イベルメクチンをコロナ特効薬として承認されるには、薬のエビデンスレベルをあげてもらうしかありません。
エビデンスレベルとは、薬の科学的な根拠のことを指します。
コロナ薬としてのイベルメクチンは、エビデンスレベルが低い立ち位置にいます。
レベルを上げるためには患者数の多いランダム化比較試験を行う必要があり、研究者たちによってしっかり有効性を見極めてもらう必要があるのです。
2021年現在では、日本の製薬会社である興和がイベルメクチンの有効性についての研究がスタートしており年内にはコロナ新薬として承認されるようにがんばってくれています。
そこできちんとした有効性が得られなかった場合は、残念ながら新薬としては認可されません。
とある専門家は
「今後有効性が示される場合があるかもしれないが、現時点では独断で服用をしないほうがいい」
と発言しており、政府機関が公表するまでちゃんと待った方がいいという見解になっているようですね。
歴史的見ても感染症によるパニック状態は、人間の判断を鈍らせます。
感染したくないという一心でさまざまな情報に惑わされてしまい、独断で動いてしてしまう人が多くなってしまうのです。
前記事で紹介した、アメリカ人が動物用イベルメクチンを誤用したのが良い例なのではないですね。
我々は専門家がイベルメクチンをどう評価するかを待つしかなさそうです。